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防水工事のやり直し費用はなぜ高くなるのか?その理由と費用の目安

建物の寿命を延ばすうえで、防水工事は欠かせないメンテナンスのひとつです。

ですが、防水層に劣化や不具合が見られた際に「一度行った工事をやり直す場合、費用はどれほどかかるのか?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。

実際のところ、防水工事のやり直しには、新規施工よりも高額になりやすい傾向があります。ここでは、その理由や注意点について詳しくご紹介します。

なぜやり直し工事は費用が高くなるのか

防水工事のやり直しにおいて費用がかさむのは、単に「もう一度同じ作業をするから」ではありません

施工前に行う準備作業や追加工事が増えることが主な要因です。以下のような点が、費用を引き上げる代表的な理由となります。

①既存防水層の撤去

まず、既に施工されている防水層を撤去する必要があるケースが多いです。古くなった防水層をそのまま残したままでは新しい防水材がうまく密着せず、再び漏水や浮きなどのトラブルを引き起こしかねません。

撤去作業には、時間と人手がかかるだけでなく、剥がした防水材を処分するための産業廃棄物処理費用も必要になります。こうした撤去と処分の工程が、新規施工にはないコストとして加算されるのです。

②下地の補修

防水層の劣化が進んでいる場合、その下の下地部分にもダメージが及んでいることがあります。特にひび割れや剥がれなどがあると、防水材を新たに施工しても効果が長続きしません。

このような場合、下地補修の作業が追加で必要となり、当然その分の費用も発生します。下地の状態は外からでは判断が難しいため、現地調査の結果を踏まえて、実際にどの程度の補修が必要かを見極めることが大切です。

③足場設置

工事箇所が屋上や高所である場合、作業員の安全を確保するために足場を設置する必要があります。この足場の費用は意外と高く、設置範囲によっては数十万円に及ぶこともあります。

足場代を抑えようと高所作業車の使用を検討する方もいますが、作業効率が下がったり、日数が余計にかかったりするため、かえって総費用が増えてしまうケースもあるのが現実です。

そのため、最初から足場を組んで効率的に作業を行った方が、結果的にはコストパフォーマンスが高くなることもあります。

④防水工法によって材料費が大きく変わる

一口に防水工事と言っても、使用する防水工法にはいくつかの種類があります。たとえばウレタン防水、FRP防水、アスファルト防水、シート防水など、それぞれに特徴とコストの違いがあります。

ウレタン防水は比較的柔軟で価格も安価ですが、耐久性はやや短め。一方、FRP防水は高強度で長持ちしますが、その分材料費も高めです。どの工法を選ぶかによって、総費用に大きな差が出てくるため、工事内容と建物の条件に応じて最適な方法を選ぶ必要があります。

防水工事のやり直しにかかる費用相場とは?

防水工事のやり直しを検討する際に、もっとも気になるのは「一体どれくらいの費用がかかるのか?」という点ではないでしょうか。実際の費用は、防水面積の広さや使用される工法、建物の構造、劣化の程度によって変動しますが、おおよその相場を知っておくことで、業者からの見積もりを正しく判断する材料になります。

ここでは、防水工事に用いられる主な工法別の単価と、やり直し工事に付随して発生する各種費用についてご紹介します。

主要な防水工法ごとの費用目安(1㎡あたり)

防水工法にはいくつかの種類があり、それぞれに適した場所や耐久年数、価格帯が存在します。以下に、よく使用される代表的な工法とその価格帯をまとめました。

防水工事の項目 相場(1㎡あたり)
ウレタン防水 5,000円 ~ 7,500円
塩ビシート防水 6,000円 ~ 7,500円
FRP防水 6,000円 ~ 8,500円
改質アスファルト防水 5,000円 ~ 7,500円

ウレタン防水は価格が比較的安く、複雑な形状の場所にも対応できる柔軟さが特長です。塩ビシートやFRP防水は、耐久性やメンテナンス性が優れている分、費用はやや高めになります。改質アスファルト防水は、昔からある信頼性の高い工法で、屋上など広い面積に向いています。

どの工法が最適かは、建物の形状や使用環境、下地の状態などによっても変わってくるため、施工業者とよく相談して決めるのが安心です。

やり直し工事で発生する追加費用の相場

防水層の再施工では、単に新しい防水材を塗るだけでは済まない場合がほとんどです。以下のような付随作業が発生し、それぞれに対して費用が発生します。

作業内容 相場
既存防水層の撤去 2,500円 ~ 4,000円/㎡
下地調整(補修含む) 2,000円 ~ 3,000円/㎡
産業廃棄物の処分費 50,000円 ~ 100,000円
足場の設置費用 1,200円 ~ 1,600円/㎡

既存の防水層を撤去するには、人手と時間がかかるうえ、廃材の処理も法律に基づいて行わなければならないため、それに伴うコストが発生します。特に産廃処分費や足場設置費は、工事規模が大きくなるほど費用も高額になる傾向があります。

下地調整については、防水材を長持ちさせるための重要な工程です。たとえば、ひび割れや凹凸があるまま防水材を施工すると、施工不良の原因となるため、事前の補修や調整は欠かせません。

 

実際の費用は現地調査がカギ

上記の金額はあくまで目安であり、実際の費用は現場の状況によって大きく変わります。たとえば、既存防水層が2層に重なっている場合や、下地が想定以上に傷んでいる場合は、補修費用が膨らむこともあります。

また、屋上かベランダか、外壁かといった場所の違いや、作業環境(狭小地・高所・交通量の多い立地など)によっても、施工の難易度が変わり、それに応じた追加料金が発生することもあるでしょう。

そのため、信頼できる業者に現地調査を依頼し、詳細な見積もりをもらうことが第一歩です。複数の業者から相見積もりを取り、内容を比較することも、適正価格で施工を依頼するためには有効な手段です。

 

無理なく納得のいく工事を実現するために

防水工事のやり直しは、決して安い買い物ではありませんが、長期的に見れば建物を守るための重要な投資です。費用を抑えたいという気持ちは当然あるものの、適切な施工を怠ると再び漏水などのトラブルに悩まされることにもなりかねません。

コストと品質のバランスを見極めながら、自分にとって最適なプランを選ぶことが、後悔のない防水工事のやり直しにつながります。信頼できる業者との丁寧なやり取りを通じて、納得のいく施工を実現していきましょう。