屋上や陸屋根からの雨漏り原因特定!雨漏り修理の達人が解説
こんにちは。
ホームドクター119番です!今回は【屋上や陸屋根からの雨漏り原因特定!雨漏り修理の達人が解説】という事で記事を書きます。
近年は、アウトドアリビングとして利用したりプチキャンプで非日常を楽しんだりと、さまざまな用途に使える屋上のある家の人気が高まっていますよね。
また、傾斜のない「陸屋根」は他の屋根とは違い屋根面が平らな形状をしているため、こちらも屋上代わりにできるとして建築需要が高まっているようです。
こうした屋上ブームの一方で、屋上や陸屋根のある住宅は通常の住宅よりも雨漏りしやすいという欠点があるとも言われています。
また実際にお問い合わせいただく内容にも
「せっかく屋上がある家にしたのに、雨漏りして困る」
「陸屋根が雨漏りするので修理したいけどどうしたら良いかわからない」
というご相談がよくあります。
そこで今日は、屋上や陸屋根からの雨漏りの原因と修理方法について解説していきます。
目次
屋上や陸屋根が雨漏りしやすいって本当?
洗濯物をたくさん干すスペースとして使ったり、屋上庭園やプチキャンプを楽しんだりできるなど、色々な用途で使える屋上や、屋上のように使い勝手の良い陸屋根ですが、雨漏りしやすいというのは本当でしょうか。
結論から言うと、屋上や陸屋根が雨漏りしやすいのは本当です。
屋上は言わずもがな、一般的な三角屋根のような傾斜がない陸屋根は雨が降った際水はけが悪く、しっかり防水処理をしておかないと雨漏りする可能性があります。
ではどのような時に雨漏りしてしまうのか、屋上、陸屋根の雨漏りそれぞれの原因について説明していきます。
屋上が雨漏りする原因
屋上が雨漏り原因には、以下の4つの原因があると言われています。
- 床面のひび割れ
- 笠木部分のコーキングが劣化
- 防水層の劣化
- ルーフドレンの詰まり
上記の原因について、詳しく見ていきましょう。
床面のひび割れ
皆さんは、建ててから10年以上経過した家の外壁にひび割れが起きているのを見たことはありませんか?
家の外壁のひび割れは、経年劣化や乾燥、地震の揺れなどが原因で起こります。
それと同様に、屋上の床のコンクリートは風雨や紫外線の影響を直に受けるため、経年劣化によりひび割れが起こることがあります。
屋上の床のコンクリートにひび割れができてしまうと隙間に雨水が入り込み、雨漏りが発生するリスクが高いため定期的に屋上の点検をおこなった方が良いでしょう。
笠木部分のコーキングが劣化
屋上の手すり部分や、パラペットと呼ばれる屋上の周辺に設けられた低い立ち上がり部分の壁などの上部には、笠木が仕上げ材として取り付けられます。
そしてこのつなぎ目部分の劣化が、雨漏りの原因となるのです。
笠木のつなぎ目は本来、雨漏り対策のためコーキングをおこない目地を塞いでいますが、年月が経つと経年劣化により亀裂が入ったり、はがれ落ちてしまったりすることがあるのです。
そうして隙間から雨が侵入した結果、雨漏りが発生するというわけです。
そのため笠木部分のコーキングも、定期的に点検をおこなうことをおすすめします。
防水層の劣化
マンションなどの屋上は、三角屋根が多い住宅と異なり床が平面なのが特徴です。
しかしながら平面の床は水はけが悪いため、雨や雪により水がたまりやすいというデメリットがあります。
そのため、事前の防水工事は必須です。
防水工事により防水力を高めることができても、防水層の劣化により塗膜がはがれたり破れたりするとそこから雨水が侵入し雨漏りが発生してしまいます。
防水層は施工から大体10年ほど経つとひび割れなど劣化が見られるようになるため、現在は最低でも10年に1回は防水工事をおこなうことが推奨されているようです。
劣化の進み具合では10年を待たずに防水工事をおこなった方が良い場合もあるため、定期的に点検し、必要に応じてメンテナンスをおこないましょう。
ルーフドレンの詰まり
屋上にたまった雨水を集めて排水管に流し込む役割を担うルーフドレンには、雨や風などの自然現象の影響を受け、落ち葉やゴミ、砂、泥などが流れ込んできます。
このようなものが排水管に入り込まないよう、ルーフドレンの上にはストレーナーというカバーを被せるのですが、このストレーナー周りの掃除を怠ると雨水がたまりやすくなります。
雨水がたまると錆びやすくなるため、ルーフドレンの劣化に繋がります。
ルーフドレンが劣化するとジョイント部分に隙間ができてしまい、そこに雨水が入ると雨漏りが起きやすくなるので定期的にルーフドレン周辺の掃除をおこないましょう。
陸屋根が雨漏りする原因
陸屋根は傾斜がなく水はけがしにくい形状になっているため、防水工事が必須となっています。
防水工事をきちんとおこなっているはずなのに雨漏りが起きるのは、屋根の不具合によるものが多いようです。
ある日突然雨漏りしてしまったら困ってしまいますよね。
陸屋根が雨漏りしてしまう原因は、以下のようなものが考えられます。
- 防水層の劣化
- 排水溝のつまり
- 壁面の破損
それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
防水層の劣化
屋上と同様に陸屋根においても防水工事がおこなわれますが、陸屋根の防水層も風雨や紫外線の影響を受けやすく、劣化の原因になります。
防水層が劣化すると防水性能が低下するため、劣化したところから雨水が侵入し雨漏りが発生してしまいます。
防水層が劣化すると、ひび割れなどの目に見える症状が出てくるようになります。
定期的に劣化の状態をチェックしておけば、早めにメンテナンスをおこなうことで雨漏りを未然に防ぐことは十分可能です。
排水溝のつまり
陸屋根は、屋上と同様に排水溝へ雨水が流れるような構造になっています。
しかしながら、排水溝に流れ込むのは雨水だけではありません。
落ち葉やゴミなども一緒に流れてくるため長期間放置しておくと排水溝が詰まってしまうことがあります。
排水溝がこのようなゴミで詰まってしまうと雨水をうまく排出することができなくなるため、陸屋根に水がたまってしまうリスクがあります。
陸屋根の防水層は排水溝から雨水が排出されることを前提としているため、排水溝がつまって陸屋根に水が多量にたまってしまうと防水層が対応できる許容量を超えてしまいます。
そうなると防水層と壁の隙間などから水が浸入し雨漏りが発生してしまう恐れがあるため、こまめに排水溝周辺は綺麗にしておく必要があります。
壁面の破損
陸屋根の雨漏りの原因は床面だけではありません。
壁面の破損も雨漏りが起きる原因になるので注意が必要です。
と言うのも、屋上部分に立ち上がっている壁面は、建物の内部と繋がっています。
そのため、壁面にひび割れなどが起き破損してしまうと、破損した部分から雨水が建物内に侵入する恐れがあるのです。
また、壁の部分の塗装の劣化により防水機能が低下すると、そこから雨水が染み込み雨漏りが発生するリスクがあります。
もし床面に異常がないのに雨漏りが起きているようなら、屋上を囲っている壁面が破損していないかチェックしてみましょう。
ベランダ・バルコニーにも雨漏りリスクあり!
ベランダやバルコニーは、屋上や陸屋根と違ってあまり劣化を気にしない人が多いのではないでしょうか。
実はベランダやバルコニーの劣化による雨漏りは、放っておくと二次被害が起きてしまいます。
ベランダ・バルコニーの雨漏りによる二次被害
ベランダ・バルコニーが雨漏りすると、発生する二次被害は以下のようなものがあります。
家の木材が痛む・腐る | 特に木造建築の場合、雨漏りにより雨水が侵入すると、木材が腐り家の耐久性が下がってしまいます。 稲の耐久性が下がることは、家の資産価値が下がることにつながります。 |
---|---|
シロアリなどの害虫被害を受けやすくなる | 雨漏りをすると家の湿度が高くなるため、シロアリなどの害虫の温床になります。 シロアリは湿った家の木材が好物で食べてしまうため、家の耐久性能が低下してしまい危険です。 一度シロアリに入られてしまうと駆除や修繕に100万円以上かかってしまうことも。 |
カビが発生する | 雨水により湿気が増えるとカビが発生します。 カビは咳や頭痛、肌荒れなどの健康被害を起こしたり、家の壁紙や断熱材へもダメージを与えます。 |
電気系統の被害や故障 | 侵入した雨水がブレーカーやコード類を濡らしてしまうと、漏電が起きるリスクがあります。 電気系統に悪影響が出るだけでなく、最悪の場合火災が発生する危険があるため注意が必要です。 |
たかが雨漏りと侮っていると取り返しのつかないことになる可能性がありますので、雨漏りは早めの発見、修理が必要です。
もちろんこれはベランダ・バルコニーだけでなく、屋上や陸屋根など家全般の雨漏りに言えることです。
ベランダ・バルコニーの雨漏りの原因
ベランダ・バルコニーの雨漏りの原因は、以下が考えられます。
- ドレン部(排水口)のつまりや劣化
- 床面の劣化による防水層のひび割れ
- 笠木の破損
- 勾配異常
- ベランダ・バルコニーの壁の劣化やひび割れ
屋上や陸屋根同様、排水口のつまりや床面の劣化による防水層のひび割れが雨漏りの原因になります。
排水口がつまったり防水層が劣化したりすると、降った雨がベランダやバルコニーにたまってしまい雨漏りの原因になります。
特にドレン部は落ち葉や外からのゴミでつまりやすい部分ですが、普段から清掃をおこなっていればつまることは防げるので、こまめに清掃するように心がけましょう。
また、ベランダやバルコニーの手すりの部分である笠木の破損や壁の劣化・ひび割れ、勾配以上などさまざまなことが原因で雨漏りが発生します。
雨漏りの原因は素人目にはわからないことも多いので、まずは専門の業者に原因を特定してもらうことが大切です。
ベランダ・バルコニーの雨漏りの修理相場は?
ベランダやバルコニーで起きた雨漏りの修理相場は、全体的に治すか部分的に治すかでも費用は大きく変わってきますが、大体下記の費用が相場となります。
部分的な修理(防水コーキングなど簡易的な補修) | 3万円〜15万円 |
---|---|
全体的な修理(下地の修理から交換まで) | 15万円〜50万円 |
雨漏りが軽度の場合におこなう防水コーキングのみの場合は大体3万円程度で済みますが、下地の補修からおこなう全体的な防水工事の場合は15万円~50万円と高額な工事費用がかかってしまうので、劣化が進み雨漏りがひどくなる前に早めに修理を依頼した方が良いでしょう。
自分でできる屋上や陸屋根などの雨漏りの応急処置
後で業者に雨漏り修理を依頼するとしても、工事をおこなうまで時間がかかるのでそれまで応急処置でしのぎたい、そんな時、自分でできる簡単な応急処置の方法をご紹介します。
ブルーシートで雨の侵入を防ぐ
準備するものは、
・大きめのブルーシート
・砂利をつめた土嚢袋
・テープ
の3つ。
ブルーシートはホームセンターなどで安く購入できるので、雨漏りの応急処置にとても便利です。
雨漏り箇所を特定するのはプロでも難しいため、大きめのブルーシートを使い広範囲にかぶせるのが一番手っ取り早い方法です。
ブルーシートは風で飛ばないよう養生テープなどで止め、その上から砂利をつめた土嚢袋を置いて固定しましょう。
防水テープで雨水が侵入するのを防ぐ
ある程度雨漏り箇所がわかっている場合は防水テープでの応急処置も可能です。
準備するものは、
・防水テープ
・雑巾
の2つ。
防水テープは下記のようなネット通販で売っているものでOKです。
画像:楽天
まずは雨漏りをしている箇所周辺を雑巾で綺麗にふきます。
ここを綺麗にしておかないと、埃や砂などでテープの粘着力がなくなりはがれやすく成ってしまうからです。
綺麗にしたら、雨水の流れる方向の下流から上流に向かい、空気が入らないよう注意しながら防水テープを貼っていきます。
防水テープの場合、広範囲に貼るのはおすすめできません。
広範囲に貼ると雨漏りの経路が変わってしまい、今度は別の個所から雨漏りが発生するリスクがあるので、原因箇所周辺のみに貼った方が良いでしょう。
コーキングで原因箇所を埋める
雨漏りは市販のコーキング材とコーキングガンでも応急処置することが可能です。
準備するものは、
・防水コーキング材
・コーキングガン
・雑巾
の3つです。
防水コーキング材を以下のようにコーキングガンに装着して使用します。
画像:モノタロウ
まずは雑巾で原因箇所周辺の埃などのよごれをふき取り、その後コーキング材がはみ出るのを防ぐためマスキングテープを周りに貼ります。
コーキングする前に、プライマー(下塗り材)を先に塗布すると防水効果がさらに高まるのでおすすめです。
プライマーを塗布した場合は十分乾かし、原因箇所にコーキングガンに装着してコーキングをおこないましょう。
塗布後コーキングが乾く前にマスキングテープをはがし、コーキングが乾いたら完了です。
屋上・陸屋根などの雨漏りを修理する方法
今ご紹介した方法はあくまで応急処置の方法です。
長期的な雨漏り対策をしたい場合は、早めに専門業者に雨漏り修理を依頼した方が良いでしょう。
ここでは、屋上や陸屋根などの雨漏りを修理する防水工事の方法や工事の工程をご紹介します。
防水工事には、大きく分けて以下の4つの工法があります。
- ウレタン防水
- シート防水
- FRP防水
- アスファルト防水
それぞれどのような特徴があるか、一つずつ見ていきましょう。
ウレタン防水
ウレタン防水は防水工事の一つで、ウレタンと呼ばれる樹脂を液体状に塗り防水層を形成する施工方法です。
防水性能が高いことから最もポピュラーな防水工法で、屋上・陸屋根だけでなく複雑な形状のベランダやバルコニーの防水・補修工事にもよく用いられています。
ウレタン防水のメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
またウレタン防水には以下の2種類の工法があります。
- 通気緩衝工法
- 密着工法
屋上・陸屋根の雨漏り修理・防水工事なら、通気緩衝工法
ウレタン防水には主に2種類の工法があります。
その中でも雨漏りなどの水分を含んだ下地に最も効果的と言われるのが、通気緩衝工法です。
通気緩衝工法は、裏側に溝が開いている通気緩衝シートを貼り付けた上からウレタン防水材を塗布して防水性を高める工法です。
雨によって屋上などの床面の下地に侵入した水分を長年放置しておくと、水分が下地に染み込んで雨漏りが発生します。
また、水分を含んだ下地が日に当たると、湿気となって下地から出ようとするため「膨れ」という劣化症状が起こることがあります。
これらの症状を防止するのに、通気緩衝工法は最適な方法です。
下地に水分が多く含まれている可能性がある住宅やマンションの屋上や、陸屋根、ルーフバルコニーなどの面積が広い箇所に特に向いています。
ベランダ・バルコニーの防水工事なら密着工法
密着工法は、シートを貼り付けた上から防水材を塗布する通気緩衝工法と異なり、ウレタン防水材を下地に直接塗布し、その上からメッシュのような補強布を貼り付け、さらにウレタン防水材を重ね塗りする工法です。
工期は比較的早いのがメリットですが、下地に直接塗布するため下地の影響を受けやすいというデメリットがあります。
処理がきちんとおこなわれていなかった場合は防水層のひび割れや膨れが起きやすくなりますので、注意しましょう。
また、下地を乾燥させるのに時間がかかるため、面積の広い屋上や陸屋根よりもベランダやバルコニーといった狭い場所に向きます。
ただし、すでに雨漏りしている建物の場合は下地の中までしっかり乾燥させることは難しいため、その場合は通気緩衝工法を選んだ方が良いでしょう。
ウレタン防水の補修工事を行う目安
ウレタン防水の耐用年数は約8~12年です。
それ以上経過すると防水機能が低下してきますので、定期的なメンテナンスが必要です。
基本的に防水工事をおこなってから5年以上経過したら防水層を覆っているトップコートの塗り替え工事を、10年以上を目安として防水工事をおこなうと良いでしょう。
ウレタン防水工事の工程
ウレタン防水工事の流れと手順をご紹介します。
-
STEP
01高圧洗浄・下地補修
下地が均一かどうかで仕上がりの様子は大きく変わります。
下地についた汚れは高圧洗浄でよく取り除き、ひび割れなどの雨漏りの原因になる箇所は丁寧に補修をおこないます。
また、目地も丁寧に撤去していきます。 -
STEP
02プライマー(下塗り材)塗布
ウレタン防水材が下地に吸収されるのを防ぐため、先に下塗りをおこないます。
下塗りをおこなうことで、ウレタン防水の接着性も高めることができます。 -
STEP
03通気緩衝シート貼り付け(通気緩衝工法の場合のみ)
専用のボンドによりシートを貼り付けます。
シートの貼り付け後脱気筒を設置し、湿気の逃げ道を作ります。 -
STEP
04ウレタン防水中塗り
コテやローラーを使いウレタン防水材を塗布します。
-
STEP
05ウレタン防水上塗り
先に塗ったウレタン防水材が固まったら、ウレタン防水材をその上から重ね塗りします。
2~3回ほど、任意の厚みが出るまで繰り返し塗っていきます。 -
STEP
06トップコート塗布
任意の厚さまでウレタン防水を塗布したら、最後に防水材を保護するためトップコートを塗布します。
トップコートは防水層を紫外線や風雨から保護する役割があり、防水層を長持ちさせるのに重要です。
シート防水
シート防水は50~300㎡ほどの広範囲での防水工事に向くため、屋上や陸屋根の雨漏り修理によく使用されます。
一方でベランダやバルコニーなどの狭い場所は複雑な形状になりやすいため、あまり使用されないようです。
ただ、大手ハウスメーカーや技術がある業者では施工できる場合もあるようです。
シート防水のメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
しっかり雨漏り対策をしたいなら塩ビシート防水
塩ビシート防水は塩化ビニール樹脂を使用しているため柔らかく、施工しやすいという特徴があります。
また、既存防水層の上から被せることができるので、既存防水層の撤去作業が必要なく、工期とコストを抑えることが可能です。
また、雨漏りの原因となる紫外線や熱、オゾンに対する耐久性が高いのも塩ビシート防水の良いところです。
とりあえずの応急処置ならシート防水
ゴムシート防水は、合成ゴムでできた防水シートを使用したシート防水です。
既存防水層の上から施工することができます。
素材がゴムということもあり伸縮性に優れ、塩ビシートより低コストかつ短期間での施工が可能です。
一方、塩ビシート同様複雑な形状には向いていないのに加えシートが薄いため、鳥のいたずらで破れてしまうなど塩ビシートよりも耐候性の面では低いのがデメリットです。
そのため、急な雨漏りでしっかりした防水工事を行う前のとりあえずの応急処置など、緊急時の雨漏り修理向けの防水工事と言えます。
シート防水の補修工事を行う目安
シート防水の耐用年数は10年~15年が目安です。
それ以上経過するとシートが寿命でもろくなり、雨漏りのリスクがありますので全交換が必要です。
シート防水工事の工程
シート防水には機械式固定工法と密着工法の二種類の工法があります。
それぞれの手順について見ていきましょう。
機械式固定工法の場合
-
STEP
01下地処理をおこなう
下地がひび割れをしたまま防水シートを敷くと、シートの下から雨漏りをするリスクがあるため、まずは下地のひび割れなど劣化している部分をしっかり補修していきます。
-
STEP
02絶縁用シートを敷いて固定金具を取り付ける
次に絶縁用シートを敷いていきます。
絶縁用シートには、下地の下に湿気がたまらず逃げやすくするという大事な役割があります。
絶縁用シートを張ったら固定金具でしっかり取り付けていきます。 -
STEP
03塩ビシート又はゴムシートを敷く
絶縁用シートを固定したら、その上から塩ビシート又はゴムシートを張り、固定します。
-
STEP
04ルーフドレンなどに成形役物を設置
防水シート張りが終わったら、次は雨水の逃げ道となる排水溝回りを整えます。
水はけをよくするため、成形役物と呼ばれる部材をルーフドレンなどに設置していきます。 -
STEP
05シーリングで隙間を埋めていく
排水溝回りが整ったら、先に張った防水シートの隙間をシーリング材で埋め、雨水が侵入しないようにします。
-
STEP
06トップコート塗装
防水層の保護のためトップコート塗装をして工事は完了です。
密着工法の場合
-
STEP
01下地清掃・補修をおこなう
下地処理で仕上がりに差が出るため下地は良く清掃し、ひび割れなどはしっかり補修しておきましょう。
-
STEP
02プライマー(下塗り材)塗布
続いてプライマーを下塗り材であるプライマーを塗布します。
プライマーを塗布することで、防水シートの接着性を高めます。 -
STEP
03セメントを流しながら防水シートを張る
接着塗料にはセメントが最適です。
セメント塗料を流しながら防水シートを敷いていきます。 -
STEP
04シート下の空気を抜く
防水シートを張ったら、シートの下の空気をモップやローラーを使いしっかり抜きます。
-
STEP
05立ち上がり部分を施工
シート張りが完了したら、立ち上がり部分を施工します。
-
STEP
06シーリング材で隙間を埋める
シート同士の隙間は雨水が入らないようシーリング材で埋め、隙間がないようにします。
-
STEP
07トップコート塗装
シーリングが終わったらトップコート塗装を施して完了です。
FRP防水
FRP防水のFRPは「Fiber Reinforced Plastics」を略したもので、日本語では繊維強化プラスチックのことを指します。
繊維プラスチックは優れた防水に加えて軽量かつ耐久性も高いので、バスタブにも使われています。
硬化の速い繊維プラスチックを使用しているため、工期は1日~2日と他の施工方法に比べ短期間で完了するのが特徴です。
また、シート防水とは逆で広い場所の施工に向かず狭い場所の施工に向くので、ベランダやバルコニーの雨漏り修理、対策の防水工事としておこなわれることが多いです。
FRP防水のメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
FRP防水の補修工事をおこなう目安
FRP防水の耐用年数は大体10~15年です。
伸縮性が低いためひび割れしやすいので、定期的にひび割れがないかチェックをおこなうことが大切です。
耐用年数に達していない場合でも、ひび割れなど劣化が見られた場合は雨漏りするリスクがあるため早めに補修工事をおこなうことをおすすめします。
FRP防水の工程
-
STEP
01下地洗浄・下地処理
防水性能を最大限に発揮するためには丁寧な下地洗浄・下地処理が必要不可欠です。
まずは下地を洗浄し、汚れをしっかり落としていきます。
汚れを取り除いたらひび割れなどの補修をおこなっていきます。 -
STEP
02プライマー(下塗り材)塗布
続いてプライマーと呼ばれる下塗り材を下地に塗布していきます。
プライマーは接着剤の役割となり、下地との密着性を高めます。 -
STEP
03防水用ポリエステル樹脂塗布
防水用のポリエステル樹脂を既定の量調合し、ローラーやハケを使って均一に塗布していきます。
-
STEP
04防水用ガラスマット敷き
防水用ガラスマットを防水用ポリエステル樹脂の上から貼り付けていきます。
貼り付け後は脱泡ローラーにてマット内の気泡を除去します。
STEP3~4の工程を2,3回ほど繰り返します。 -
STEP
05研磨機でガラスマットの表面を研磨しアセトンを吹き付ける
研磨機でガラスマットの表面を磨きつるつるにします。
その後アセトンを吹き付けることで、防水層の硬化を早めます。 -
STEP
06トップコート塗装
全体的にトップコートを塗装し防水層を保護して完了です。
アスファルト防水
アスファルト防水は、合成繊維不織布にアスファルトを浸してコーティングした、シート状のルーフィングを張り重ねていく防水工事です。
水や紫外線に強く、上に人や車が乗っても大丈夫なほどの強度があるため、マンションやビルなどの建物の防水工事に多く採用されています。
仕上げ方法も柔軟に変えられるため、防水をきっちり施した上で屋上緑化のための植物を設置することも可能です。
昔からおこなわれている歴史ある工法で施工品質も安定しているため、非常に信頼性が高い工法です。
重ね貼り工法のため防水層が厚くなるので、水密性が優れています。
工期はやや長めで6日~10日ほどの日数が必要となります。
アスファルト防水のメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
高い防水性を誇る熱工法
アスファルト工法は細かく分けると3種類の工法に分けられます。
その内の熱工法は、アスファルト溶融窯で220℃~270℃まで熱して液状になった防水用アスファルトを施工する場所に流し込み、その上をルーフィンと呼ばれる防水シートで貼り付ける工程を何度もおこない防水性を高める工法です。
防水性は高いですが、工法を使用する場合大型機械である溶融窯という専用の機械を施工現場まで持ち運ばなければならず、大掛かりな作業となります。
また、アスファルトを熱するため施工中は異臭や煙が出るのに加え、溶融温度が極めて高温のため近隣の環境問題への配慮や作業員の火傷に注意する必要があります。
作業工程は簡単でも奥深いトーチ工法
トーチ工法は、改質アスファルトルーフィングシートというアスファルトを含んだ特殊な防水シートの裏面と下地を専用のバーナーであぶって溶かしながら張り付けていく工法です。
熱工法同様、熱を使ってアスファルトを溶かす点では同じですが、熱工法と違い溶融窯のような大型機械を用意する必要がなく、肯定もルーフィングシートをあぶって溶かして下地に張り付けるだけの単純な作業という点で、熱工法より容易に実施しやすい工法です。
また、施工時の臭気も熱工法と比べそこまで強くありません。
ただしトーチ工法にはルーフィングシートがあぶり不足だと施工不良となる欠点があります。
実際、シートが早期にはがれて雨漏りが起きている例が多いことから、技術力の高い施工業者に依頼するのがおすすめです。
火を使わず環境にやさしい常温工法
常温工法はアスファルト防水の中でも唯一熱を使わない工法で、冷工法とも呼ばれています。
この工法では、ゴムアスファルト粘着層を裏面にコーティングした改質アスファルトルーフィングシートを複数枚交互に貼り重ね、防水層を作っていきます。
主に屋根の防水工事に用いられることが多く、火を使わないことから環境に優しく他の2つの工法に比べ安全性も高いです。
環境や安全性を考えると常温工法が一番良さそうに感じますが、熱を使わないため他の二つの工法と比べ粘着力が弱く水密性では劣るため、一概には言えません。
アスファルト防水の補修工事をおこなう目安
アスファルト防水の施工日数は長めですが、一度実施すれば他の工法に比べ長く防水性能を発揮します。
アスファルト防水の中でも一番耐久性の高いのは熱工法で、約15年~約25年耐久すると言われています。
トーチ工法の場合は約15年~約20年耐久すると言われています。
雨漏りなどの症状が見られた場合は修理として張り替え工事が必要になりますので、耐久年数が近づいてきたら定期的にチェックしておきましょう。
アスファルト防水工事(トーチ工法)の工程
アスファルト防水の中で広くおこなわれているトーチ工法の工程をご紹介します。
-
STEP
01下地清掃・下地補修
防水工事をおこなう前に、下地は綺麗に掃除ししっかり乾燥しておきます。
下地に凹凸がみられる場合やひび割れがみられる場合はモルタルなどで調整します。 -
STEP
02プライマー(下塗り材)塗布
続いてプライマーと呼ばれる下塗り材を下地にローラーやハケなどで塗布していきます。
プライマーは接着剤の役割となり、下地との密着性を高めます。 -
STEP
03増し張りをする
ルーフドレンや出入り隅角、配管周りなど排水溝周辺に補強のための増し張りシートで増し張りをおこないます。
-
STEP
04シートの割付・仮敷き
改質アスファルトルーフィングシートを実際に貼る前に墨出しをおこない、寸法や貼る位置を決めて仮敷きします。
割付は勾配と逆にならないようにします。 -
STEP
05シートの貼り付け
専用のトーチバーナーを用いて改質アスファルトルーフィングシートの下地と裏面を均一にあぶっていき、アスファルトを溶融させながらシートを貼っていきます。
シートのオーバーラップ部分は10㎝以上ラップさせ、シートからアスファルトが少しはみ出す程度溶融させるのが目安です。 -
STEP
06立ち上がりシートの貼り付け
立ち上がり部分もバーナーにてあぶり、アスファルトを溶融させながら隅をきちんと押さえて圧着させます。
-
STEP
07トップコート塗装
シートを貼り付けたら仕上がりを確認し、トップコートで防水層を保護し完了です。
屋上や陸屋根は定期的に状態をチェックし適切なメンテナンスを
今日は屋上や陸屋根、ベランダ、バルコニーなどの雨漏り原因や修理方法についてお話しました。
雨漏りを予防して屋上や陸屋根の防水機能を維持するには、普段からルーフドレンなどの排水溝周辺の掃除をおこない、定期的に防水層にひび割れや膨れなどの症状が出ていないかチェックし適切なメンテナンスを実施することが大切です。
まだ大丈夫だからと掃除やメンテナンスを怠ると、雨漏り修理でかえってコストがかかってしまう場合もあるので注意しましょう。
また、雨漏り修理のための防水工事は業者の技術力で仕上がりに大きく差が出るものです。
安いからといって適当な業者に任せたところ、メンテナンス後すぐに雨漏りしてしまったというケースも多発しています。
雨漏り修理を依頼する際は、経験豊富で実績のある業者に任せるようにしましょう。
ホームドクター119番には。熟練の技術と経験豊富な職人が在籍しています。
雨漏りでお困りの際はお気軽にご相談ください!