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放置厳禁!外壁コケの発生理由とスッキリ落とすプロの裏ワザ

外壁に生えるコケは、見た目を悪くするだけでなく、建物の耐久性を下げる大きな要因にもなります。放置すればするほど範囲は広がり、外壁材そのものを傷めてしまうおそれもあるため、注意が必要です。

しかし、いざ掃除をしても「すぐにまた生えてくる…」という悩みを持つ人も少なくありません。実は、コケの発生には明確な原因があり、それを理解しない限り根本的な解決にはつながらないのです。

そこで今回は、外壁にコケができる仕組みや放置によるリスク、さらに効果的な除去方法について詳しくご紹介します。

繰り返すコケに悩まされないためのヒントを、ぜひ参考にしてみてください。

外壁にコケができる主な3つの原因

外壁にコケが発生する背景には、いくつかの共通する要因があります。以下の3つが代表的な原因です。

建物の立地条件が原因で湿気がこもることも

建物の形状や周辺環境によっては、風通しが悪くなり、湿気が溜まりやすい場所ができてしまいます。たとえば、建物の凹んだ部分や奥まった壁面などは空気の流れが停滞しやすく、乾きにくい状態が続きます。

また、隣家との距離が近い住宅地では、風が通らないことによって湿気がこもりやすくなり、結果として外壁にコケが発生しやすくなるのです。

このように、建物の立地条件や設計によって湿度が高く保たれてしまうと、コケの繁殖に適した環境となってしまうため注意が必要です。

 

外壁材の種類やデザインもコケの発生に影響する

外壁にコケが付きやすいかどうかは、使われている外壁材やその表面仕上げによって大きく左右されます。たとえば、モルタル外壁やサイディングボードなどは、リシン吹き付けやスタッコ仕上げといった凹凸のあるデザインが多く、こうした凹凸部分に水分や汚れが溜まりやすいため、コケが発生しやすい傾向にあります。

特にタイル調のデザインやザラついた塗装仕上げは、湿気や汚れが残りやすい構造となっており、風通しの悪い場所ではコケの温床になってしまいます。

反対に、金属サイディングやトタンのように表面が平らで水はけが良い外壁材は、比較的コケが発生しにくいのが特徴です。

ただし、どの外壁材であっても、塗膜の撥水性や親水性といった保護機能は時間の経過とともに低下します。塗装の劣化によって水分をはじきにくくなると、コケが生えやすい状態へと変化していくため、定期的なメンテナンスが重要です。

 

内部結露がコケ発生の引き金になることも

外壁に発生するコケは、室内と外気の温度差によって生じる「内部結露」が一因となることがあります。建物の構造や外壁材の工法によっては、壁内部に湿気が溜まりやすく、その水分が外壁材に悪影響を及ぼし、コケの発生を促進してしまうのです。

一方で、サイディング外壁では「通気工法」が多く採用されています。この工法では、外壁材と建物の構造躯体の間に空気が通る隙間を設けることで湿気を逃がす構造となっており、内部結露の発生を抑制し、外壁材の劣化やコケの発生リスクを軽減してくれます。

つまり、壁内の湿気対策がきちんと講じられているかどうかが、コケの発生にも大きく関係するということです。

 

外壁のコケを放置するリスク

外壁に発生したコケをそのまま放置してしまうと、単に見た目が悪くなるだけでは済まされません。

時間が経つにつれて、建物の機能や耐久性に深刻な影響を及ぼす可能性があるのです。

外壁の塗膜がコケによって傷んでしまう

外壁にコケが付着したままの状態が続くと、その部分の塗膜は常に湿気にさらされることになります。

コケ自体が水分を含みやすく、また湿気の多い環境を好んで繁殖するため、放置すればするほどその範囲は広がり続けます。

結果として、外壁の塗膜が水分により劣化しやすくなり、防水機能が著しく低下。さらには、塗膜が剥がれやすくなったり、ヒビ割れが起きやすくなるなど、塗装の寿命が一気に縮まってしまいます。

こうした塗膜の劣化が進むと、建物本体へのダメージにもつながりかねません。外壁にコケが見られるようになったら、早めの対応が非常に重要です。

 

健康被害のリスクも

外壁にコケが発生している場所は湿気がこもりやすく、コケや藻に加えてカビも繁殖しやすい環境になっています。特に注意したいのが、目に見えにくいカビの胞子です。これらは風などで室内に入り込み、アレルギー性鼻炎や喘息などの健康被害を引き起こす可能性があります。

小さなお子さんや高齢者、アレルギー体質の方がいるご家庭では、こうした影響がより深刻になることも。コケやカビの放置は、見た目の問題にとどまらず、家族の健康を脅かすリスクにもつながるため、早めの対処が大切です。

 

外壁材そのものにもダメージが及ぶ可能性

コケを放置していると、まずは外壁の塗膜が劣化し、撥水性や防汚性といった保護機能が失われていきます。その結果、湿気が外壁材の内部まで浸透しやすくなり、素材自体が劣化してしまうリスクが高まります。

塗膜の劣化が進行すれば、やがて外壁にひび割れや欠けといった構造的な不具合が発生することもあり、修復には大きな費用がかかるケースもあります。見た目の問題にとどまらず、建物の耐久性にも影響を及ぼすため、早めの対応が重要です。

 

外壁に発生したコケ、届く範囲なら自分で掃除も可能

外壁にコケが発生しても、脚立やはしごを使わずに地上から手が届く範囲であれば、自分で掃除することで費用を抑えることが可能です。特に軽度のコケであれば、こまめな清掃によって再発防止にもつながります。

ここでは、自宅でできる簡単な掃除方法をご紹介します。

実施する際は、転倒や薬剤の取り扱いによる事故を防ぐために、安全対策をしっかりと行いましょう

 

重曹や中性洗剤を使ってコケを除去する方法

外壁にうっすらと生えたコケであれば、重曹とブラシを使った掃除が効果的です。重曹には植物の繁殖を抑える作用があるため、軽度なコケの除去には有効とされています。

ただし、重曹は周囲の草木に悪影響を及ぼす可能性があるため、植物が近くにある場合には注意が必要です。その場合は、中性洗剤を水で薄めて代用する方法が安全です。

掃除の際は、柔らかめのブラシを使い、外壁を傷つけないように優しくこするのがポイントです。汚れが落ちにくい場合でも、力任せにゴシゴシ擦るのは避けましょう。

 

家庭用高圧洗浄機で外壁のコケを除去する方法

外壁に付着したコケを効率よく落とすには、家庭用の高圧洗浄機を使う方法が非常に有効です。外壁塗装の現場でも行われる手法で、専門業者が使用するガソリン式の高圧洗浄機ほどの出力はありませんが、家庭用の電気式でも十分な洗浄効果が期待できます

この方法の大きな利点は、薬剤を使わずに水だけで掃除ができるため、周囲の植物や構造物への影響が少ないことです。

ただし、外壁材の種類によっては注意が必要です。たとえば、リシン吹付など表面に細かい石材が使われている仕上げでは、強い水圧によって素材が剥がれることがあります。そのため、洗浄前には水圧の調整や近隣住宅・車両への飛散対策(養生)も忘れずに行うことが重要です

 

カビキラーなどの塩素系漂白剤は外壁掃除に不向き

外壁に生えたコケの除去に、カビキラーなどの塩素系漂白剤を使うのは避けた方が無難です。これらの製品は強いアルカリ性を持ち、コケの除去効果は高いものの、外壁の変色や表面の劣化を引き起こすリスクがあるためです。

また、住宅の外壁には金属製の水切りなどが使われていることも多く、塩素が金属部分に付着するとサビや腐食の原因となる恐れがあります。こうした理由から、塩素系漂白剤を使った掃除はおすすめできません。より安全な方法を選ぶようにしましょう。

 

✅ 外壁のコケ掃除ポイントチェックリスト

    • 重曹または中性洗剤を使用
      軽度のコケには重曹が有効。植物への影響が気になる場合は中性洗剤を使いましょう。

 

    • ブラシは柔らかめを使用
      外壁を傷つけないように優しくこすりましょう。強く擦るのはNG。

 

    • 家庭用高圧洗浄機で効率的に除去
      電気式でも効果あり。水だけで洗えるので植物や建物への影響が少ないです。

 

    • 外壁材に合った水圧調整が必要
      表面がデリケートな素材(例:リシン吹付)は高圧で素材を傷めないよう注意。

 

  •  ☑ 塩素系漂白剤は避ける
    カビキラーなどは変色や金属腐食を引き起こす可能性があるため不向きです。

 

外壁のコケを専門業者に任せるべき状態は?

外壁のコケは、自分で対応できるケースもある一方で、状況によっては専門業者に依頼したほうが安全で確実です。以下のようなケースでは、プロの手を借りることをおすすめします。

高所での作業が必要なとき


コケは本来、湿気の多い低所にできやすいものですが、立地や風通しの影響で2階部分など高い場所に発生することもあります。こうした高所での作業は、落下などのリスクが伴うため、無理に自分で対応せず、安全性を考えて専門業者に依頼するのが賢明です

 

コケが広範囲に広がっているとき


少しの範囲であれば自力で掃除できますが、広範囲にわたって発生している場合、労力だけでなく時間もかかり、再発リスクも高まります。広くコケが広がっている場合は、外壁の塗膜が劣化している可能性が高く、プロに状態を見てもらう方が根本的な対処につながります。

 

コケが厚く繁殖しているとき


コケが分厚くこびりついている場合、外壁内部にまで湿気が浸透しているおそれがあり、外壁材自体の劣化も進行している可能性があります。このようなケースでは掃除だけでは不十分で、補修や部分張り替えなどが必要になることも。プロに劣化具合を見極めてもらい、適切なメンテナンスを検討しましょう。

外壁の状態を正確に判断し、建物全体の寿命を延ばすためにも、状況に応じて専門業者への相談を視野に入れることが重要です。

 

✅ 専門業者に依頼すべきコケの状態チェックリスト

    • 高所にコケが発生している
      2階以上などの高い場所は転落リスクが高いため、自力での掃除は危険です。

 

    • コケが広範囲にわたっている
      面積が広いと時間も手間もかかるうえ、外壁塗膜の劣化が疑われるため要注意です。

 

    • コケが厚くこびりついている
      表面だけでなく内部に湿気が浸透している可能性があり、劣化が進んでいるおそれがあります。

 

  • 外壁の状態が判断できない
    自分では劣化具合が判断しにくい場合は、専門業者に点検してもらいましょう。